一度の保証(短編集)

館内を ほんとにぶらぶらしているあたし達
どこを見に行くのか知らないあたしは、何を見るのかなと、楽しみにしていたが、痺れをきらして言う。


「なぁ裕馬!なんか見に行くんやろ?」



「やーっと言うたぁ!」




「えー?」




「もう、いつ聞いてきてくれるんか待っててん。
それやのに 留衣ちゃん全然聞いてけーへんし」




「そんなん分からんやん!で、何? 何?
ほんまに気になっててんからぁ」




「先ず 家具とこ見に行こか」




「家具?」




「そっ!留衣ちゃん 食器棚ほしいってゆうてたやん!あと、ちょっと高くても長く使える食器ほしいってゆうてたし、棚買って送ってもらうから、食器とかも一緒に配達してもらえるようにしようや〜」




あたしに、テキパキと話して聞かせる裕馬に、満面の笑みをした後、抱きついた。




「裕〜馬〜!大好き!」




「留衣ちゃん その大好き軽いっ」




「軽くないよ〜 失礼やなぁ」




そう冗談を言い合ったあと、あたしは、声のトーンをさっきより落とし言う。




「ありがとうな、裕馬」