「俺も、探したけど、まだ一回も逢えてない。
電話も繋がらんし」


あたしと裕馬は、ざわつき、野次馬がごったがえす中、つったっていた。


「久美、何があったんやろ?
克也なら知ってるんじゃないん?」


「俺、克也さん 見付けるから、一緒に聞こ!」


「うん」


あたしと裕馬が、話していると、裕馬のずっと背後から、男が走ってくるのが見えた。


「克也」


「え?」


裕馬は、あたしの目線の先を追い振り向いた。


「ほんまや!克也さん!」


裕馬が、克也を呼ぶと克也が、あたし達の姿を見つけ、裕馬ではなくあたしの前へ来て肩を揺らされ言ってきた。


「おい!この通帳ほんまにあいつの貯めてたやつなんか?」


「は?あんたがなんで通帳持ってんのよ!」


「久美が預かってゆうから預かっただけや!」


「久美が、今どうなってるか知ってんの?!」


「ああ、さっき救急車に運ばれて行ったし、あとは、医者にしかなんもできんやろ」


あたしは、克也をぐうで殴った。


「何すんねん!」


克也が、あたしに拳をふりかざしたが、裕馬が、その腕を掴み止め、言う。


「やったら俺が許しませんけど」