一度の保証(短編集)

でも、あたしは友人に言う。


そうだよね。異常だよね。でもあたしの家は、あそこしかないんだ…
聞いてくれてありがとう。ごめんね。



友人は、いつも話を聞いてくれた後に言う。


いつでも、辛かったら泊まりにおいでよ桃華。


あたしは、そんな風にしてこれまで育った。


日常に、安らかな事はなくて、たくさん たくさん くやし涙、悲しい涙、辛い涙、苦しい涙を流した。


あたしは、そんなママだったから、好きな人が出来て結婚できたら、暖かい家庭を作るのが夢だった。


普通でいい。


子どもが産まれたら、あたしは、あたしのような思いを子どもにさせない。


自信があった。


あたしが、一番よくあたしの気持ちを理解しているから。


よく、虐待された子は、親になると自分もすると言う。


ないとは言い切れない事かもしれないが、あたしには、そこもクリアできる自信があった。


だって、あたしは、今も昔からの気持ちをずっとずっと覚えているから。


だから気持ちが手に取るように、分かる。


何をされれば嫌で、言われれば傷つくかも、どうされれば嬉しいかも、叱り方も、どう言えば伝わるのかも。