そのまま合コンをすっぽかしたあたしは、行き場を失っていた。

たどり着いたのは“cafe・sunset”。
夜も8時まで営業している。

フランが勢いよく駆け寄ってきた。

あたしはその場にしゃがみこんでしまった。

フランはあたしの頬をぺろぺろ舐め上げる。

エリちゃん、痛かったよね。

感情に任せて、エリちゃんにひどいことをしてしまった。

何かわけがあったかもしれないのに。

吹き上げるような熱い衝動が自分の中に眠っていたこと、気づきもしなかった。

人を殴ったり、わめいたり。

あたしらしくない。あたしらしくない。

いつものあたしはどこへ行っちゃったの?

「トモちゃん。」

扉を開けたのはマスターだった。

「フランが静かだから様子見にきてみたら・・・。中に入りなよ。」

店内のお客さんはまばらで、すでに閉店準備が始まっていた。

「いつものでいいかい?」

「はい。」

夜にここへ来るのは初めてだった。