転校生が来た。大阪から。
高校二年の秋だった。

教壇に立つ彼は怒っているようにも見えた。

「じゃあ甲斐(かい)君からも一言いいかな。」

担任の教師がその甲斐君なる、転校生にあいさつを求めた。




「甲斐です。よろしくお願いします。」


すごく低く、しゃがれた声には迫力があった。