「帰ろ帰ろー」 ただ夏目涼が隣にいてくれるだけで嬉しい。 ドキドキして楽しい。 意味は知らなくていい。 分かることがなくていい。 あたしだけでいい。 「はぁ…」 「そのため息はなに?」 「…何でもない」 夏目涼は困ったようにため息を吐いた。 あたしはそんな彼を見つめて笑った。