これはあたしの気のせいなのだろうか? あたしの勝手な想像? なんとなくだけれど、気のせいであってほしいと思っているあたしがいた。 だって。 だって、彼が〝人間〟に見えない。 感情が見えてこない。 あなたの心はどこにあるの…? 「あ、あの…?」 何度目かのあたしの声で、夏目涼はあたしを見た。 いや、言葉に少し間違いが含まれているかもしれない。