あたしは一度口を閉じると呟いた。 「…向かってる場所」 夏目涼は分かっている。 それを分かっていると知っているのに質問してしまった。 なぜだろう。 自分自身が向かう場所を宣言したいのだろうか? なんて考えた。 少し恐い。 いや、だいぶ恐い。 できることならばもう二度と会いたくない。 それでも会わなければいけない理由がある。 あたしが前へ進むためにはしなければならないことがある。