何かを言葉にしたらしい。 けれど俺はそれを聞き取ることができなかった。 「あ?」 そう聞き返せば、そいつはいきなり叫んだ。 「どうしたらいいのか分からない…っ!!」 それは嗚咽混ざりの悲痛な叫び声だった。 途切れることなく言葉は続く。 「分からないの…だって…そんなのって…っ!!」 そいつの不安定な気持ちも分からないわけではない。 けれどそれは違うと思うのだ。 ずんずんと大股で近づいては胸ぐらをつかみあげた。