俺はそいつの質問に答えることなく、自分の質問を口にしていた。 「お前は…あいつのところへ行ったのか?」 なぜだろう。 そんなことを聞く必要性なんて全くなく、そして俺には関係のないことなのにそう尋ねていた。 関係のないことだ。 なのに胸が騒ぐ。 なぜ。 どうして。 そいつは小さく首を縦に振った。 そうして再び俯いては押し殺すような声で訴えてきた。 「あたしは…っ何も知らなかった…」