頬を撫でる彼の手は温かい。 あたしを安心させてくれる。 「…怖くないのか?」 「何が…?」 「俺が」 その言葉にあたしは顔だけを上げて夏目涼を見た。 「…恐くない…な?」 キョトンとしながらそう答えると、夏目涼は「っは」っと噴出した。 あの日は夏目涼でも恐ろしく感じたのだ。 しかし今はどうだ。 こんな触れるレベルではないくらい近距離だというのに、恐ろしさをこれっぽっちも感じない。 むしろ触れていて欲しいと思う。