神様がくれた夏




あたしの視線は視線は自然と2階のベランダへ移る。



そこにはいかにもダルそうに、ベランダの柵に体重をかけてあたしを見つめる人がいた。




「な、つ…め…」




あたしの口から思わず彼の名前が零れた。




(…ビックリした!!)



人の気配がしない、物音1つないせいで留守だと思った瞬間の夏目涼の登場に、あたしは今までにないくらい驚いてしまった。




「いるなら…出てくれればいいのに…」




あたしは呆然としたまま、ふわりと風に乗って消えてしまいそうな程小さな声で言葉を発するけれど、夏目涼は相変わらず何を考えているのか分からない、無機質な瞳を宿した表情だった。