助けて、なんて言えない。



だからあたしは何度も何度も心の中で叫んだ。


助けを求めた。



彼は何かを悟ったのだろう。


何も言わずに体を預けるあたしに答えてくれていた。



どうして彼はこんなにも温かいのだろうか。



その温かさに余計に涙が溢れ出す。



彼はあたしを抱きしめたりはしない。


ただ優しく頭を撫でてくれていた。





大雨の中。


校庭の中心で2人。




あたしの泣き声が雨に混ざっては消えた。