だってあたしが必死になって助けを求めた彼がそこにいたのだから。 「お前、」 「…?」 「それ…」 驚いたような声に逆にあたしが不安に駆られた。 何に気づいたの? 何を知ったの? 「な…に?」 その声に反応したあたしはゆっくりと顔を上げた。 すると彼はスッと手を伸ばしてきては、あたしの手首を掴んだ。 「…痛っ!」