(助けて…夏目涼…)



あたしはその時彼に助けを求めた。


心の底からそう思ったのだ。



抵抗すらままならない。


どうしたらいいのかも分からない。




ただ助けてと願うしかない。




けれどそれは全く無駄なことだった。




あまりの恐怖に声すらまともに発することができない。


両腕を押さえ込まれているから逃げ出すこともできない。




雨の日。


校内に残っている人はいないと思ったほうがいい。






どうしようもなかった。