「水ー涼っ」



突然後ろから名前を呼ばれた。


背後からの声になんだろうと思い、呼ばれたのと同時に振り返れば、



「わっ?!」



バシャリと。



見事と言わざるを得ないナイスタイミングで、背後にいた人物の手の平に貯められていた水をかけられた。



「な…っ?!」



軽く濡れる程度ではなかった。


思いのほかビシャビシャに濡らされた顔に驚きの声が漏れる。



頬を伝ってはぽたぽたと垂れていく水が妙に生ぬるくて気持ちが悪い。



あたしは水を払うことすら忘れ、突然のことながら呆然とするしかなかった。