見るなよ。 チラみすんなよ。 恐れられている男―――夏目涼と普通に会話する異質な女になりたくないあたしは、ゆるりと視線を上げ彼を見つめた。 一刻も早くこの場を去ってほしいと思うあたしが、用は何なのかと尋ねようとしたときだった。 「あー…、あたしちょっとトイレー…」 居た堪れなくなったのか、ほのかはそう言うとそそくさと教室から出て行った。 「えぇ…?!」 あたしの声は届かない。 駆け出すほのかの走りは見たことがないくらいの俊足だった。