先生は一向に頭を上げる気配を見せない。 いきなりすぎる申し出に何も言えないあたしは、相変わらずこの難所を突破する良い言葉を口に出せないままでいる。 プール掃除なんかやりたくない。 これっぽっちもやりたいと思わない。 そんなことは誰もが思うだろう。 当然夏目涼だって思っているだろう。 けれどきっと彼は何かをやらかして、それをチャラにするためにプール掃除を渋々受け入れたんだろうと予想できる。 分からない。 あたしがそれに協力する理由は?! メリットが見つからない。 デメリットばかりだ。