「それでは先生―――」 言葉を放った瞬間、先生はあたしを見た。 そして言ったのだ。 ナイスアイディアとでも言うように。 閃いたとでも言うように。 「夏川、悪いがプールの掃除を手伝ってやってくれないか?」 ………はい? 別れの言葉を言うはずだったのに止まってしまった。 言葉の続きが見当たらない。 なんだと? 理解できない先生の口から放たれた言葉。 その信じられない言葉に、あたしは呆然とするしかない。