遠くのほうでカタンという音が聞こえた。
反射的に体を起こすとやっぱりという声が聞こえて、そしてそれは間違いなく待ち続けた愛しい人の声だった。



ミチと呼ぶとソファに腰をかけ、やっぱり泣いてたと優しく親指で私の目を擦った。
その手はやっぱり冷たくてミチの手だなと安心出来た。



おかえりなさいと言うと抱きしめながらただいまと返してくれた。



私はまた改めて幸せだなと思いながら、作っておいたビーフシチューをあっためる。
お鍋をかきまぜながらごめんねと言うとミチは笑ってキスをくれた。



お前がおればもうええわと頭を撫でる。



ミチの耳にはルビーのピアス。
私の耳にもルビーのピアス。




ねぇミチ。これから先、また喧嘩してもこんな風に仲直りしようね。


そんなことを思いながら左手でルビーのピアスをそっと撫でた。