ねぇミチ。
ミチはずっと私より身長が低いこと気にしてたけど、私は一回も気にしたことなかったんだよ。


ミチがごめんなって言う度に自分の身長が嫌になっていったの。


私はミチがすべてだったの。ねぇミチ。








はやくはやく、はやく。眠らなくちゃ。

ドクンドクンとどんどん大きくなるこの音はよく知ってる。だけどまだダメ。
受け入れるにはまだ、足りない。



ギュッと強く目を閉じれば閉じるほど、意識ははっきりしてきて余計に涙が出そうになる。

思い出すのは全部ミチのこと。



二人でいるとき、そんなに沢山話すわけじゃないけど私が話し出せばいっつも少し笑いながら聞いてくれた。
愚痴を言えば最後には頭を撫でながら優しい一言をくれたし、嬉しかったことを話せば素敵に笑ってくれた。

そんな小さなことがたまらなく嬉しかった。



私より少し小さい手はいつも私のより少しだけ冷たくて、手の冷たい人は心があったかいというのは本当なのかもしれないなぁなんてよく思っていた。

テレビを見たり、ミチの弾くギターを聴いたりしながら並んでソファ座る時間が好きだった。肩をピッタリくっつけて座ってさ。私が眠そうなのに気付くとちょっとミチが離れるの。そうしたら私がミチの肩に頭を乗せて少し眠るんだ。

そのとき、いつもギターで子守唄を弾いてくれた。私が昔よく眠れそうな歌だねと冗談混じりで言ったの、覚えててくれたんだよね。大好きだったな。また聴きたいよ。




ミチは少食だったけど、私の作ったビーフシチューはうまいうまいと言いながらおかわりしてくれたよね。すごく嬉しくて幸せだなって思った。

誕生日にくれたピアス。
私が7月生まれだから誕生石のルビーのピアス。私もミチもお揃いとかあんまり好きじゃないから、形は違うけど同じ石をミチも右耳につけてくれていた。



なにもかもが幸せだったんだ。
ミチがいる、ただそれだけで。

ミチにとって私は?

もういらない?




そんなことを考えると涙がとまらない。