一緒に夕飯を食べていると突然彼が留学すると言い出した。あまりにも突然で驚いているとアメリカに、三年と付け加えた。
そんな長い時間を考えたら目眩がしそうだった。


いつ?と尋ねると明日と答えた。
話してる間もずっとご飯を食べる手は止めなかった。そんな片手間にする話じゃないのに。勝手に留学を決める彼に私は必要ないと言われてる気がして無償に腹が立った。

お箸をバンと置いて怒鳴ってしまった。

どうして少しの相談もしてくれなかったのだろう。それが悲しくて淋しくて、辛かった。


泣きながら私は?と尋ねると少し困った顔をして早紀と名前を呼んだ。
別れるなんて絶対嫌で聞きたくないと吐き捨て、家を飛び出してしまった。

その日は家に帰らず、友達の家に泊まったが携帯の着信はたったの4件だった。
きっとそんなもんだったのだ。
私に対する彼の気持ちは。ずっと私ばっかり好きだったんだ。

次の日家に帰ると昨日の食器は綺麗に洗われていて、とても静かだった。

ユウトは何時の便で発つのだろう。
彼女なのに何も知らない。というか何も知らされてない。ユウトにとって私は何だったんだろう。



また泣きそうになっているとテーブルの上にあるメモが目に留まった。

汚い字で書かれているそれは昨日の出来事をひどく後悔させた。


“帰ってきたら必ず迎えに行く”


たった一行のそれを信じようと思った。
三年なんかきっとあっという間だ、そう自分に言い聞かせながらまた泣いた。今度は静かに、彼に言えなかった待ってるを強く思いながら。