外では毎日毎日蝉がせわしく鳴きつづけていて、私の部屋では毎日毎日うだうだ文句を言い続けている男が一人。
8月中旬、夏真っ盛りのこの時期にクーラーが壊れた。今すぐ修理に出したいがあいにく今月は金欠でそんなお金はどこにもない。
もーなんでクーラー壊れるん?と文句を言い、なぁなんでなんでなんで?なんて鬱陶しいことを耳元でグタグタほざいてるのは私の男友達のリク。
もうまじでうるさいと一発喝を入れるとすこしだけおとなしくなった。
リクが夏休みに入ってから毎日うちに入り浸っている理由は、クーラーがあるからと言っていた。だけどクーラーが壊れてかれこれ一週間が経っているにもかかわらず、リクは毎日うちに来る。その理由は?
なんでクーラー壊れてるのに毎日来るの?と尋ねると、キョトンとした顔でお前といたいからと答え冷蔵庫を開ける。
ねぇそれってどういう意味?
ドキドキしてどんどん体温が上がっていく。さらりと放った彼の一言でこんなにも胸が躍るんだ。それってさ。
アイスないやん!と冷凍庫を覗きながら叫ぶ彼は子供みたいでキュンと胸が鳴いた。
昨日リクが最後の一つ食べたじゃんとキッチンを覗きながら答えると、じゃあ買いに行こと笑いながら言われたら行くしかないじゃない。
うんと答えて財布を手に取ろうと、俺が出すからいいでと財布に伸ばした右手をギュッと握った。
好き、付き合お?といつもの笑顔で言われたなら、私もいつもの笑顔でうんと頷く。リクが好きと言ってくれたこの笑顔で。
アイスを食べながら少し遠回りをして帰った。手を繋ぎながら歩くのは幸せだななんてぼんやり思いながら、リクの横顔を見た。
私よりだいぶ大きい彼の横は安心できて、ずっと一緒にいれたらなぁなんて考えていると、ずっとこんな感じでおれたらええなーとつぶやく彼に驚いているとなに?とちょっと赤くなった顔でこっちをむいた。
なんだか気持ちが通じ合ってる気がして嬉しくて、ずっといれるよと答えると、彼はそっとキスをした。リクの愛が伝わってきた。
今日の夕飯はカレーにしよう。
リクも食べていくでしょ?



