姉貴には勝てない




「ねぇ………ちゃ……」
僕は、

精一杯の力を
出して

姉ちゃんを呼んだ。


そばにいてほしくて、


一人に

なりたくなくて…。



「昴!?」


姉ちゃんは、


少し驚いたけど、


すぐに

笑顔を見せてくれた。


それから、

僕は


今出せる

精一杯の

声の大きさで…


必死に

姉ちゃんに

自分の

伝えたいことを


伝えた。








姉ちゃんは、


僕の小さな声を…


必死に


聞き取ってくれた。





「昴……



うん。



大丈夫。



ここにいるよ。


どこにも

行かない…


昴のそばにいるよ」





姉ちゃんは
僕の

小さな

声に

あわせて、



少し

小さな

声で



ささやいてくれた。








そして、




僕は…



遠くで…



救急車の

サイレンの音を


聞きながら、



深い…



深い




眠りに






落ちていった…