穏やかな春の風がティアナの茶色い髪を揺らす。
一緒にいるバシンは丸坊主なので何も揺れない。
揺れるどころか、日の光に当たってたまに輝くので触りたい衝動に駆られる。
きっとツルツルしてるんだろうなとバシンの頭を見つめて考えるティアナ。
「お嬢ちゃん!桶を取ってくれ!」
バシンの声で我に返る。
彼が瞬間移動して川から汲んできた水。
彼女はその水が入った桶を持った。
今、ティアナとバシンは教会の近くにある庭園でミントの種蒔きをしている。
バシンの提案で体に良い草花を育てることとなったティアナ。
半分以上バシンの趣味により企画されたガーデニングだが、ティアナも喜んで付き合っている。
アンドラスにも一緒にやろうと誘ったが「面倒」の一言で切って捨てられた。
暖かな午後の日差し。
二人で丁寧に水をまく。
「終わった~」
ティアナが思い切り伸びをした。
「うん!上等!」
バシンも水をまき終え満足そうに蛇の尻尾を振っている。
「今日はこの辺にしておくか。俺様もそろそろ帰らないと、部下がうるさくてうるさくて…。お嬢ちゃん、一人で戻れるか?」
ティアナは笑顔で大丈夫と答えた。



