今にも家の中をめちゃくちゃに破壊しそうな剣幕のアンドラス。

その時、突如居間の中心が輝き出し何者かの笑い声が響いた。

「さあ!着いたぞ!俺様にかかればどんな空間も一瞬よ!」

野太い男性の声。

「アンドラス!連れて来たよ~」

ヴォラクが姿を現す。

彼の横には巨大な蛇の尻尾を持った丸坊主の中年男性が立っていた。

「誰?そいつ」

アンドラスの冷たい一言。

「バシンだよ~。瞬間移動が得意なの」

紹介され、バシンは愛想良く笑みをつくった。

「俺様に用なんだろ?病気にかかった可愛い女の子が助けを求めていると聞いた」

シルヴェスターは散らばった食材を拾い集めながらハラハラしていた。

果たしてアンドラスは悪魔バシンを気に入るだろうか。

気に食わない悪魔とは一切関わろうとしないアンドラス。

今回はティアナが絡んでいるから追い返さないとは思うが、やはり不安だ。

「ティアナが、可愛い…?」

落ち着いた口調。

シルヴェスターは主をじっと見つめた。


緊張の静寂。


白い悪魔は口角を吊り上げた。


「わかってるじゃん。案内するよ」


こうしてバシンは二階に上がりティアナに薬草で薬を作ってあげたのだった。