悪魔の熱情リブレット




 ティアナがライナルトと再会した時、シルヴェスターはアンドラスと共にまだ地獄にいた。

「何百年ぶりだか忘れたが、元気そうでなによりだ。シルヴェスター」

ベリアルの声が響く。

シルヴェスターを盾として使っておいて何たる言い草か。

「ベリ、ア…ル」

血が出る胸を押さえながら憎い悪魔の名前を呼ぶ。

「久々に、また其方の血を堪能したいものだ」

「シルヴェスターは僕の部下だよ。返さないからね!」

アンドラスは傷ついて倒れているシルヴェスターを庇うように立ちはだかった。

「アンドラスに盗られてから、どうにも恋しくてな…」

「自分は、全然恋しく…ありません」

むしろ、離れられて清々していた。

「つれないなぁ…」

ベリアルは片足だけで立ち上がり、飛ぶような一歩でシルヴェスターまで詰め寄った。

「貴様!!」

金髪の悪魔はアンドラスには見向きもしない。

彼はシルヴェスターの服を掴み、破いた。

上半身が露になる。

痛々しい傷口が曝され、見るに堪えない。