白い衣に赤が付着する。
それが自分の血なのか返り血なのか、アンドラスにはもう区別がつかなかった。
「まだまだ血が足りぬ。付き合えよ?」
「もちろんさっ!」
戦闘の興奮でアンドラスの瞳孔が開く。
「来なよ!!」
この誘いに遠慮なく乗ったベリアル。
しかし、アンドラスに襲い掛かる金髪の悪魔を、突如現れた青い悪魔が蹴り飛ばした。
「シルヴェスター!?」
「ほう、シルヴェスターか。久しいな」
シルヴェスターはベリアルの声を無視し、主に向き直った。
「主よ、ティアナ様が心配しています。一度、お戻り下さい」
「うるさいな、わかってるよ。思いのほかてこずったけど、そろそろ終わらせるさ」
アンドラスが人間の動体視力では捉えきれないほどの速さで動いた。
閃光のような刃がベリアルに迫る。
その時――。
「来い」
ベリアルがシルヴェスターの腕を掴み、自分の方へと引き寄せた。
「なっ!?」
攻撃を止められなかったアンドラス。
血が飛び散る。
シルヴェスターの体が崩れた。
「シルヴェスター!!」
ベリアルの盾にされた青い悪魔は胸からの出血に呻いた。
「貴様っ、よくも僕の部下を!」
「ククッ、シルヴェスターは我の盾となる義務がある。なあ?シルヴェスター。親孝行はするものだぞ?」
この時、アンドラスは思い出した。
「そういえば、貴様だったっけ…。悪魔シルヴェスターの生みの親」



