「でもでも…心臓、刺されちゃった時は…死んじゃったかと…」
「あのさ、いいこと…教えてあげる。悪魔を完璧に殺すには、聖水とか十字架とか…神に繋がる聖なるものが必要なんだよ…ちょっとバラバラにされるくらいじゃ、痛みは感じるけど…死にはしない」
初めて知る悪魔の秘密にティアナは驚いた。
「聖水や十字架って、そんなに危険なの?」
「聖水は毒、十字架は鋭い剣…振り掛けられたり、刺されたりされると…ヤバいね。一気に昇天さ」
(いや…昇天よりも、ひどいか)
昇天は魂が天に昇ることを意味するが、死した悪魔の魂は天に辿り着くことなく消滅するのだ。
魂の存在が消える。
これ程の恐怖はないだろう。
「だから、ティアナ……………ん…?」
アンドラスは俯いたティアナに違和感を感じた。
(まさか…)
「ゴモリー…?」
魂の入れ替えが上手くいったのだろうか。
彼がゴモリーの顔を覗き込もうとした時、勢い良く彼女は顔を上げた。
「ルシファー!!ちょっと面を貸して下さいませ!!」
開口一番、ゴモリーは地獄の王を呼び付けた。



