悪魔の熱情リブレット


「すぐ、治るさ。気にするな…」

ティアナを安心させようと言葉を発したその時、どこからか拍手が聞こえてきた。

「やるな、アンドラス。よく魂の暴走を止めた…。感心するぞ」

ルシファーが茶化すような態度で手を叩いている。

「貴様…!」

「しかし…傍から見ているとお前達は恋仲のように見えるなぁ。まさか実際にそうなのか?」

ルシファーの言葉にティアナはドキリとした。

(アンドラス、何て答えるの…?)

不安や期待に鼓動が速くなるも、アンドラスはなかなか答えない。

(…アンドラス…)



――アンドラスが肯定するわけないか…



沈黙に耐え切れず、ティアナは口を開いた。

「べつに、恋仲じゃ…」

「恋仲だったら、何?」


ティアナの声を押し潰すように響いた声。

(アンドラス…?)


「ティアナを愛しちゃいけないわけ?僕が、悪魔だから?ハッ、そんなの…お断りだね…」

アンドラスは傷だらけの腕で静かに剣を構えた。

「好きだから…」




乱れる呼吸を整える。



「貴様に弄ばれて…」



敵をしっかりと見据える。



「イライラしてるんだよ!!!くそったれぇぇーー!!!!」