「何だ!?」
バシンが彼女の変化に気づき近寄る。
すると、そのゴモリーの体を包む赤い光が勢い良くバシンに向かって飛んできた。
「うおっと!!」
間一髪で避けるも、稲妻のような赤い閃光は床に直撃し焦げ跡を残す。
「ニ、ク、イ…オマエガ、ニクイ…」
悲しみと嘆きの先にあったもの。
それは、憎しみ。
ティアナは正気では有り得ない表情でルシファーを睨みつけた。
「オマエガ、コワシタ…」
――ワタシタチノシアワセヲ、カエシテ…
悲劇の元凶である地獄の王に容赦なく繰り出される赤き閃光。
ルシファーは余裕綽綽たる面持ちで憎しみに染まった彼女を愛おしげに見つめた。
「狂気に支配された魂も芸術的だ…。愛でる価値はある」
「一体、どうなって…!?」
ティアナの変化を理解できず戸惑うアンドラスに、バシンが自分の推測を話した。
「多分、ゴモリーの魔力がお嬢ちゃんの怒りに触れて暴走してんだろう…。早いとこ正気に戻さないと、暴走した魔力に耐え切れずお嬢ちゃんの魂が木っ端みじんに砕け散る可能性があるぞ!!」



