「何を驚く?町の人間はアンドラスの部下に始末され魂は皆、地獄に連れて来られた…。悪魔の餌食になったのだから当然であろう?」
魂の地獄行きをいかにも当たり前のように語る漆黒の悪魔に、ティアナは知りたくないけれど聞かずにはいられない質問をした。
「私のママとパパも、地獄に来たの…?」
ルシファーは彼女の潤んだ瞳を捕食するような目つきで見やり、残酷な答えを与えた。
「そうだ。お前の両親は天になどいない。地獄で悪魔達に弄ばれているぞ」
「う、そ…!うそだ…!そんな、そんな!!」
ずっと信じてた。
(ママとパパは、天国にいるんだって…)
せめて天国で幸せに、と祈っていた。
――ずっと、信じてたのに…
「う、うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
壊れたように泣き叫ぶティアナの心。
祈っても祈っても届いていなかった思いに、嘆きと悲しみが溢れ出す。
止められない涙と悲鳴。
ルシファーがその狂ったような旋律に聞き惚れ、アンドラスが罪悪感で俯いた時だった。
ティアナの、実際にはゴモリーの体が赤く光り出した。



