口では興味なさそうに言いつつも、少し気になってルシファー達の方を見る。
バシンの言う通り、漆黒の悪魔とその寵姫は深く愛を確かめ合っていた。
ややゴモリーが押され気味で、背中を反らしている。
やがて、力が抜けたらしく金髪美女は崩れそうになったがそれをルシファーが上手く支えた。
前髪の隙間からしっかりと一部始終見ていたアンドラス。
ふらふらな状態のゴモリーを抱き上げ席を立つ地獄の王を眺めながら、先程考えていた彼の気について思い返す。
すると突然、その悪魔の闇色の目がアンドラスの金色の瞳を真っ直ぐ見つめてきた。
その射貫くような視線に怯む。
情けないことに冷や汗が出た。
しかし、それで思い出した。
(この感覚…!)
絶望的な畏怖の念。
「ティアナ!!」
荒い声を上げて立ち上がる。
ルシファーは見下したような眼差しをアンドラスに向け、広間から早々に退出していった。



