亮佑は中々発見出来なかったが、
根気と亮佑を心配する思いで
ようやく円香は亮佑を捕まえた。
亮佑は劇が始まる前、直之と
コイバナで盛り上がった空き教室で
ぼんやりと窓際に座り外を見ていた。
「亮佑!」
声をかけるとビクリと肩を揺らし、
亮佑はゆっくり振り返り
戸口ではぁはぁ息を切らした円香を見て
おぉ、と力なく手を挙げた。
「どしたんだ?そんな、ぜぇぜぇして」
「はぁ…
どっかのお馬鹿さんが楽しい楽しい
学祭中に、くっらぁーい顔して歩いてるの
見ちゃったからね。走って追い掛けたの」
苦笑いの亮佑に近付き、
円香はバシンと背中を叩いた。
反動で、座っていた窓枠から
ずり落ちそうになった亮佑を
支えながら、円香は見逃さなかった。
亮佑…泣いてた…??

