一か八か、階段を駆け下りて
中庭に出た。
カズマーズ達が特設ステージの
撤収作業をしていて、円香を見つけ
声をかけてきた。
「円香ちゃーんっ!劇面白かったよ!
先輩もめちゃくちゃカッコよかったし!
ぁ、あたし達のダンス見てくれたー?」
「ぁ、うん。ダンスキレッキレだった!
ところでさ、人探ししてんだけど…」
円香は、いつだったか携帯で盗撮した
亮佑の写真をカズマーズに見せた。
確か、河原でキャンプしたときのものだ。
「誰か、見てないかな?」
「えー?んー、カッコイイ人なら
覚えてるけど、コレじゃねぇ…」
勝手にコレ扱いされている亮佑が不憫だが
あえてつっこむのはやめておく。
「ぁー、あたし見たかも!!
さっきトイレの列並んでたとき
ぶつかってきた人に似てる気がする」
「ほんと?!どこのトイレ?!」
「すぐそこの…」
女子生徒が指差したのは、
正面玄関近くのトイレだった。
確かに亮佑が進んでいた方向にも合う。
駄目元の気持ちで、円香は礼を言い
正面玄関近くのトイレに向かって
再び走り出した。

