中庭にはずいぶんと人が集まっていた。



なるべく見える場所で楽しみたかった

4人だったが人の頭が邪魔で、

特にまだ中学生の双子は見えずらい。



それでもなんとか人掻き分け、

一応見えるポイントを発見した。



中庭に着いてからも、

吹奏楽部の演奏中も、

大学生2人と中学生双子は

ずっと手を繋いだままで。




「花音、なんかドキドキしちゃうね!」


「お姉ちゃん奪還作戦中の私たちに

神様がご褒美くれたのかも…!」



演奏中の隙を見てコソコソ話す

2人は、演奏に目を奪われる

達也、将暉の横顔に頬を染めた。




一方で、達也と将暉もまた

こっそり耳打ち合う。



「どーすんの、これから。

計画とだいぶ違うじゃん」


「しょーがねーじゃん。

陵介が”この作戦とやらに乗っかる”とか

言い出しやがったんだからよぉ」



双子にバレないように。

コソコソと。



「つか肝心の陵介は?」


「さぁ?早苗ちゃんとどっか

行ったんじゃないの?…まさかあいつ、

召し上がっちゃってるなんて事は…!」




「…達也君、何か食べたいの?」


2人の会話に気付いた花音が顔を上げる。



達也と将暉は慌てて口を塞ぐ。

幸い勘違いしてもらえたようだ。

危ない危ないギリギリセーフ…



「これ見終わったらクレープ食べに

行きたくない?」


「行きたい!行くーぅ」



良かった、双子がまだ中学生で。

花鈴と花音の作戦実行中、

この大学生達にも何か計画があるらしい。

そうとは知らず、猪突猛進の双子たち。





それぞれの思いは交差してゆく。

こんがらがって、身動きが出来ない程に。