「早苗、俺らのことはいいから

妹たちのこと優先してやれよ。

俺は我が家の問題児の見張りも

やらないといけないし。…それに」



声を小さくして、囁く。




「円香と直之も今いい感じだし。

このまま二人っきりにしてやろう」




はぁ、と大きなため息をついて、

早苗は渋々「わかった」と頷いた。



歓喜で喜ぶ双子を、

困った顔をしながらも口元には

笑みを浮かべて早苗は見つめた。








早苗は「また後で合流しよう」と言って

双子に手を引かれながら五人と共に

去って行った。



「ちょっと、亮佑。

本当によかったの?ナエちゃん行かせて」


「だぁって、しょうがないだろ?

それに、早苗の話じゃ月に2,3回しか

あの双子と会う時間がないって言ってたし。

双子ちゃんたちもお姉ちゃんに甘えたいんだよ」


「そりゃそうだけどよー。

相手は大学生だぜ?しかも顔も中々良い、と。

俺なら行かせたくないけどなぁ」


「うんうん。亮佑ぇ、

早苗は俺に惚れてるぜ!なんて

余裕綽々なのもいけどさ、

そんなんだと隙だらけで他の男に

ナエちゃん取られちゃうよ?

その時になってあたしや直之に

泣きついてきたって知らないからね!」



双子のことしか考えておらず、

大学生三人組と早苗がどうにかこうにか

なってしまうとは少しも考えなかった

自分を恥じる。亮佑は、今更ながら

引き留めに行くべきか迷ったが、

もうすでに早苗たちの姿はなく、

後悔やら不安やらをまとめて

ため息にして吐き出した。