「ほら、もう劇始まってんだから
さっさと行くよ」
「待ってよ、母さん!」
先程とは立場が変わり、
ばぁちゃんが菜々子を
ぐいぐい引っ張って行く。
まったく困ったお姉ちゃんだねぇ。
ばぁちゃんは心の中で菜々実に語りかけた。
――全く。いつまでもお子様なんだから。
菜々実も怒っていることだろう。
2人は小走りで、劇が行われている
体育館へ、急いだ。
一方、事件現場のお化け屋敷は
所々絆創膏やら包帯やらを巻いた
お化けたちがリアルで怖いと
評判を得て、お化け屋敷始まって以来の
大盛況だったことは、
菜々子もナツばぁちゃんも
後で知った話しである。