今日は天気がいいせいか、

窓に暗幕を張っているものの

中は明るかった。

そのため最初に渡された懐中電灯は

菜々子の対お化け用の武器として

肩から下げられている。

ナツばぁちゃんは心の中で

お化けよ出て来るな、と念じた。

…色々な意味で心配だ。




2人は細く入り組んだ道を通り、

地図に書いてあるとおりに進んだ。

すぐに、お守りを見つけることができた。




「1組で1個って言ってたわよね」




確認してから、菜々子はお守りを

取ろうと腕を伸ばした。

その腕に、白い手が近づいていた。

ばぁちゃんは菜々子が近付く手に

気付かないように、先にお守りを取った。




「ぁ、母さんが持ってくれるの?

ありがとう、じゃ、次行きましょう!」




ばぁちゃんはふぅっと息をついた。

白い手はすでに暗幕の中に隠れている。

もし菜々子が先に気付いて、または

気付かず手に触れられていたら…。




間違いなく流血沙汰になっていただろう。




ばぁちゃんは1人、ブルブルと震えた。




「やぁだ、母さん怖いの?

まだお化けらしいお化けに会ってないわよ」




カラッと言った菜々子に、ばぁちゃんは

震える拳をなんとか収めた。

まったく、人の気も知らないで。