お化け屋敷をやっている教室は

すぐに見付かった。

ただ、並んでいる人の列が長く

少し時間がかかりそうだ。




「後でにしないかい?

劇の時間まで、あまり時間ないんだろう?」




ばぁちゃんの最後の抵抗にも、

菜々子は全く動じない。




「大丈夫よ、亮佑と直之くんに

席取り頼んでおいたからっ!

ちょっとくらい遅れても平気だし、

ほら、あと10分もしたらあたしたちの

順番が回ってきそうじゃない!

中に入ればサクッと終わっちゃうし

きっと大丈夫よ!

ぁ、もしかして母さん怖いの苦手だった?」




もうダメだ…。

ばぁちゃんは諦めて列に並ぶことにした。




本当に10分程で、菜々子とばぁちゃんの

順番が回ってきた。




「お化け屋敷の中に入る前に、

簡単にコースの説明をいたします!

中を進んでいただきますと、

色んな所にお守りが置いてありますので

1組様5つ、お守りを集めて下さい。

ただし、1つの場所で貰えるお守りは

1つだけです。ズルをされますと

お化けに捕まりますのでご注意を!」




これ、本当にサクっと終わるのか?

ばぁちゃんの口からは乾いた

笑いしか出て来ない。




「面白そう!頑張りましょうね、母さん」




一方の菜々子はやる気満々だ。




2人は案内係に誘導されて入口に立ち、

中のマップと小さな懐中電灯を渡された。

お化け屋敷自体は狭いのだが、

通路がかなり入り組んでいる。




「では、いってらっしゃいませー!」


「よーし!待ってろよぉ、お化け!」




ばぁちゃんはため息をつきながら、

やはり菜々子に引きずられて

お化け屋敷の中へ入った。