「2人とも、先生にバレたら

色々とマズイから、とりあえず

学祭が始まってから話しをしましょう。

先輩、そろそろ先生が来ます。

教室に戻ったほうがいいと思いますよ?」




早苗は見事にかわし、

双子を校内から追い出して

和馬を教室に戻らせ、

ギャラリーを追い払った。

見事な手際である。




「はぁ、朝から疲れた」




早苗が教室に入ると、

円香の周りに群がっていた女子達は

ぱっと退散していった。

早苗と円香は同じクラスで、席も近い。

早苗はスカートをパタパタさせて

背もたれにもたれるように座った。




「大変だね、人気者も」


「朝っぱらから…最悪だわ。

この状況で後から亮佑も来るなんて…

あたしには最悪な未来しか見えないわ」


「ぷぶ…確かにね。

双子ちゃん達可愛かったね。

それより…」




円香はうんと声を小さくして。




「どうするの?コレは由々しき事態だよ」


「そうよね…そうなのよね…。

どうしよう。言ってしまうのは

かなり簡単だけど、言ったら言ったで

めんどくさそう」


「そうだね。ただでさえ、

先輩の行動はファンクラブを

刺激してるのに。ここで兄弟って

バレたら…ナエちゃん体育館裏に

呼び出し確定だよ」


「いつの時代よ…。

でも、今以上にキツく当たられるのは

目に見えてるわね。…困ったなぁ」




中々弱音を吐かない早苗だが、

この状況によっぽど堪えているようだ。




「まぁ、あたしは何されても

まったく問題ないんだけど。

それより、円香よねぇ」




早苗がニヤリと笑う。

円香は苦笑いを返すのがやっとだった。




「どうすんのよ。

って言っても、分かってるんでしょ?

答えはもう、決まってるんでしょう?」




円香はたまに、早苗は

実はエスパーなのではないかと思う。

答えなんか、最初から決まっている。




だけど。