「明後日までいるんだろ?」




ばぁちゃんが、空になった

菜々子の湯呑みにお茶を足す。




「えぇ。亮佑にどうしても早苗ちゃんの

お姫様姿が見たいって

ワガママ言われちゃったんだもの。

連れて来ないわけにいかないじゃなーい?」




――ニヤニヤニヤニヤ。

菜々子と直之、円香にばぁちゃんまで

2人を交互に見ながらニヤニヤした。

亮佑と早苗は顔を真っ赤にして下を向く。




「んもぅっ、可愛いんだからー!」


「もぉ、嫉妬しちゃうー!」




亮佑の両腕に、そう言いながら

菜々子と円香が張り付いた。




「せっかくだから、直之君も連れて来たの。

ほら、夏に一回来てるって聞いていたし、

他にも色々聞いてますからね」




――ニヤニヤニヤニヤ。

今度は直之と円香以外がニヤニヤした。

円香はパッと亮佑の腕から離れて

腕組みをして明後日の方向を向き、

立ち上がると何処かに行ってしまった。

直之がそれに続いて居間を後にする。




「あらま。若いっていいわぁ」




菜々子は肘をローテーブルについて

ふふふ、と笑いながら縁側に出て

ぐんっと大きな伸びをした。




「円香ちゃん、今日4回も

家に来てるんだよ。よっぽど

待ちきれなかったのかねぇ…」




ばぁちゃんも微笑んで、

急須の茶葉を換える為に立ち上がった。