――翌朝。




亮佑は直之に蹴られて起きた。

客間を亮佑と直之が使い、

菜々子はばぁちゃんの部屋で寝た。




朝方まで大騒ぎしていた直之だが

今はぐっすり眠っている。

寝相があまりいいとは言えず、

亮佑は安眠を妨害された仕返しに

直之の鼻を摘む。

ふがふが言う直之が面白い。




顔を洗いに洗面所に行く途中で

早苗とばったり会った。

早苗はすでに薄い化粧をして、

制服に身を包んでいた。




夏服は白地に青いラインの入った

デザインだったが、冬服は

黒地に赤いラインが入ったセーラー服だ。

真っ赤なリボンが可愛らしい。




「おはよう。朝方まで騒いでたわりには

早起きなのね」


「おはよう。騒いでたのは直之だけで

俺はただ睡眠妨害されてただけ。

あいつの蹴りで叩き起こされた」


「ほんと、迷惑な奴ね…。

朝ごはん出来てるみたいだから

早く顔洗って来なさいよ」




亮佑は早苗に言われた通り

顔を洗って身支度を整えてから

居間に向かった。

美味しそうな卵焼きとみそ汁の匂いがした。




「おはよう!亮佑。

お母さん久しぶりに朝から頑張った!」


「まったくこの子は…。

いつも亮ちゃんに何を食べさせてるんだか」


「大体トーストかコーンフレーク」


「まぁ、育ち盛りなんだから

もっと栄養のあるもの食べさせなさいよ」




朝からばぁちゃんに叱られて

菜々子は軽く落ち込みながら席に座る。

早苗も何処からともなく現れ、

直之と樽澤さん抜きで朝食が始まった。




「今日、10時くらいに

学校に行くわね!みんなで回って、

劇まで時間潰ししましょう」


菜々子が張り切って

パンフレットを見ながら言った。

早苗もうんうん頷き、劇が終わったら

後は自由なので合流すると言う。




「今日はいい天気だし!

最高の学祭日和ね!!」




亮佑はみそ汁を啜りながら、頷いた。