カタカタと車輪が回る音と、

草むらの虫の鳴き声が、

2人の沈黙を包む。

ススキの重たい穂が、夜風に揺れた。




「亮佑。亮佑は、今、幸せ?」


「…うん」


「そう。…良かった!

くっつけ隊隊長としては、

その言葉が聞けて何よりだよ」




ニコニコしながら、円香は言った。

亮佑は、そんな円香に逆に質問してみる。




「円香は今、幸せか?」




うーん、と少し悩んだそぶりをして

円香は苦笑いをして返した。




「くっつけ隊としては成功したけど、

あたし的には失敗したわけだから

そんな幸せではないかな」


「…そっか」


「あたしは亮佑が今でも好きだよ。

隙さえあれば、2人の関係を

目茶苦茶にして、亮佑を

あたしのものにしたいって思うし」


「…俺、円香にそんなことされたら

円香を嫌いになるぞ」


「ふふ、分かってる。

だから、やらない。

それに2人の間に割って入るなんて

出来るわけないじゃない。

ナエちゃん、一週間前からソワソワして

めちゃめちゃ乙女モードだったんだから」




それは初耳だ。

あのツンツンな早苗が…。

考えただけでキュンキュンする。