「そう言う樽澤さんこそ、
ナツばぁちゃんとはどうなってんですか」
ぶっ。
今度は樽澤さんがお茶を噴いた。
慌てて雑巾でテーブルを拭きながら、
樽澤さんは顔を真っ赤にさせている。
「何を言うかと思えばっ!
べべ、別にお前さんには関係ないだろう!」
「いや、だって気になるし。
ばぁちゃんとはどこまで進みました?」
「進むも何も。もはや婚姻届に
ナツさんがハンコを押すのを待つのみだ」
エッヘン、と胸を張る樽澤。
そこへちょうど良く買い物に行っていた
亮佑達が帰って来た。
…仕返しの時来たり。
直之は早速ばぁちゃんを捕まえて
樽澤さんのもとへ連れていく。
「で、どうなんですか?」
ニヤニヤしながら改めて
樽澤さんに確認するが
さっきまでの威勢はどこへ行ったのか、
樽澤さんは急にソワソワし始める。
ばぁちゃんは怒っていた。
「病人なのになんで家に来るの!
しかも人ん家で何勝手に
くつろいでるの!」
「たまには…その、外出も必要かなと…。
すみません」
さっきとのギャップが面白過ぎる。
直之はこっそり笑う。
ばぁちゃんは樽澤さんを、
"隠し部屋"へと連行して行った。
他の3人はその様子をぼんやり眺め、
何があったのかと言いたげな表情だが
直之は適当にはぐらかした。
「そういや亮佑、さっきごめんな」
「そういやって…。お前なぁあ!
俺傷付いた!傷付いちゃったよ!」
「あー、だから、ごめん」
面倒くさそうに言う。実際結構面倒だ。
「ごめんで済むかっ!ごめんで済むなら…」
お約束の言葉を続けようとしたが、
亮佑はしばらく何か考えた後、
「いや。まぁ。ごめんで済ましてやる!
俺の広い心に感謝しろよ!」
と言って、無理矢理早苗の手を引いて
荷下ろしの手伝いに向かった。
最初は嫌がるがすぐに自分から
駆けて行く早苗が健気で可愛い。

