夏 色 の 風-After Days-




つまり、亮佑は自信喪失状態なのだ。




「なぁ…早苗って本当に

俺の事好きなのかな…?」




ついに出た本音に、

円香はでっかく「はぁぁぁ」とため息をついた。

本当に、なんなんだこのカップルは。

振り回されるこっちの身になれ。




すぅっと息を吸い、

円香は亮佑の両頬を勢い良く叩いた。

「あいたっ!!!」と叫び、

亮佑は椅子から転がり落ちる。



「なっ…にすんだー!」


別の意味で涙目になり、床に倒れた亮佑に

円香はニッコリ微笑んで手を伸ばす。



「くよくよするの、亮佑らしくなくない?

ナエちゃんが何でどうしてそんな行動してんのか

さっぱりあたしも分かんないけど。

悩んだってナエちゃんの気持ち

分かる訳ないじゃん!!」



そう。

悩む事なんてない。

それは、自分も同じ––––。




「ほらっ!

いじいじしてないで、ナエちゃん探そ!

突撃あるのみだよ!!」




亮佑は、ニカッと笑った円香の顔に

何故かホッとした。

そして大きく頷いて、円香の伸ばした手を掴んだ。