「明日が入学式なの」 「朝早いのか?」 「うん。電車で二時間かかるから」 「………そうか。大変だな」 大学のお金は何も心配することなんてなかった。彼女のいう“アイツ”が契約していた学資保険の金が彼女に振り込まれたのだ。つまり、“アイツ”は彼女の進学のために金を貯めていたのだ。 入学金振り込みの締切に滑り込みで間に合い、彼女は晴れて大学生となる。 地元の国立大学。それなりに難関校で、同じ学校で受かったのは彼女を含めたった二人らしい。