暫く来ないと思う。もしかしたらもう来れないかも。 彼女にそう告げられた時、俺はただ、あぁ、うん、としか言えなかった。 アパートの自分の部屋のドアを開けたまま、制服を着た彼女が去り行くのを呆然と見つめていた。 少し冷たさを感じるようになった秋風が頬を打ち、季節外れの着古したTシャツの裾が揺れた。 その日俺は、彼女の年齢を初めて知った――のかもしれない。 受験勉強、そろそろ本気で始めないと…。 彼女は“来れない”理由としてそう説明した。