おっさんと女子高生

でも、でも確かに――あの大雨の日に触れた彼女の体には人間の温もりがあった。柔らかそうな黒髪からは、甘い香りが漂って、皮膚を這う舌は火傷してしまいそうなほど熱かった。

「どうかした？」
「ん？いや、どうもしねぇ。どうもしねぇよ」

いつものように、彼女の頭の上に手を置いて撫でまわそうと腕を上げた。が、それを躊躇った手は空を泳ぎ、結局自負の頬を指で引っ掻いただけになった。

癖のようになったその行為がおそろしい。