「しかし…、いつまでもお湯や空調をただにして頂くのは…。」 と、福留は封筒を両手で持ち、大家さんの前に差し出した。 大家さんはそんな福留の姿に苦笑いを浮かべ、 「福留さんは、しっかりしたお方だ。わかりました、受け取りましょう。」 と、福留から封筒を受け取った。 「有難うございました。では、私は作業に…。」 と、福留はホッとした表情を浮かべると体の向きを変えたのだが、その時に、 「ちょっと、待って下さい。」 と、大家さんには呼び止められてしまう。 大家さんは、笑顔で封筒を福留に向けた。